「ジュリー&ジュリア」 [★★☆]
原題: JULIE & JULIA
監督: ノーラ・エフロン
脚本: ノーラ・エフロン
原作: ジュリー・パウエル(「ジュリー&ジュリア」)/ジュリア・チャイルド(「いつだってボナペティ!-料理家ジュリア・チャイルド自伝」)
出演: メリル・ストリープ/エイミー・アダムス/スタンリー・トゥッチ/クリス・メッシーナ
2009年/アメリカ映画
2009年ゴールデン・グローブ: 女優賞(コメディ/ミュージカル)(メリル・ストリープ)など
★★☆
<感想>
「王道のフランス料理」という分厚い料理本の著者で、テレビの料理番組もやっていたジュリア・チャイルドと、彼女を崇拝するジュリー・パウエルについての実話が同時進行で展開していく。
メリル・ストリープ演じるジュリアは、劇中ジュリーが見ている料理番組には本人が映っているものもあるんだけど、本当にそっくりで、映画賞の女優賞に数多くノミネートされたり受賞したりしてるのもうなづける。
大柄で、甲高い声で、パワフルなジュリアのことを最初は「何だこれ?」と正直思ったけど、だんだんチャーミングに思えてきて、最終的には''ジュリアという人は、他人に嫌われることなんかないんだろうな''とさえ思えてきた。
一方ジュリーは日々の仕事や結婚生活が、夢や憧れとはどうも違う...と、人生に少々不満を抱えている女性で、その状況を打開すべく大好きなジュリアのレシピ524個を1年間で作るという目標を掲げ、ブログを開設する。
料理を作ることは私も好きだから楽しんで見れたところもあったけど、せっかく料理をテーマにしているのに「うわっ!おいしそう~~!!」というシーンが全然ないのがもったいないと思った。
ロブスターと格闘したり、鴨や子牛の足を扱ったりという部分はあったけど、それがないからただただジュリアのレシピを作って、ブログを書いて(写真さえない)...なのね。
途中うまくいかなくて旦那さんに当たったりというシーンはあったけど、そのくらいしか苦労が見えず、上達してるかも分からないから、なかなかジュリーを応援する気にもなれなくて共感できなかった。
だから彼女のブログが人気が出て、取材が殺到したりするっていうのもいまひとつピンとこなかったかな。
最後、まだ当時は生きていたジュリアがジュリーのことをこころよく思っていないというようなシーンがあるの。
ジュリアの真意はもちろん分からないし、それについてのその後が語られるわけでもないんだけど、この映画だけを見るなら、私にはジュリーが''ただのまねっこ''に見えたので、いい印象を持たれないのも仕方ないのでは?と思ってしまった。
ジュリアはそんな意地悪じゃないか...。
多少の脚色はあっても、実話だから仕方ない部分もあると思うけど、ジュリーの魅力がもっと伝わってくればすごくおもしろくなったように思う。
エイミー・アダムスじたいは、悩み多き働く現代人女性をかわいらしく演じていたので良かったと思うけど。
あと、さっき書いた料理のシーンもね。
私が好きだからなんだけど(笑)、料理を扱ってる魅力的な映画は、やっぱりおいしそうなシーンがあるものなので。
(ちなみにぱっと思い出せる素晴らしい料理映画と言えば、「バベットの晩餐会」、「ディナー・ラッシュ」、「ソウル・フード」かなあ)
それにプラスして、2人の女性にはすてきな理解あるだんなさんがいて、彼らとのエピソードも当然あるの。
つまり、ちょっと話題を盛り込み過ぎて、全部が中途半端になってしまったのかもしれません。
題材じたいは良かったと思うのに、惜しい。
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