「リトル・ミス・サンシャイン」 [★★★★]
原題: LITTLE MISS SUNSHINE
監督: ジョナサン・デイトン/ヴァレリー・ファリス
脚本: マイケル・アーント
出演: グレッグ・ギニア/トニ・コレット/スティーヴ・カレル/アラン・アーキン/ポール・ダノ/アビゲイル・ブレスリン
2006年/アメリカ映画
2006年アカデミー賞: 助演男優賞(アラン・アーキン)/脚本賞(作品賞ノミネート)など他多数
★★★★
<あらすじ>
フーヴァー家は、父親は破産寸前で、母親はまともに家事もせず、長男はこの世のすべてを憎み一言も口をきかないし、父方の祖父はドラッグで老人ホームを追い出され口も悪いという家。
そこに自殺未遂した母親の兄がやってきたタイミングで、末娘オリーブが念願の美少女コンテストの地区代表にくりあげ当選した。
家族全員で小さなバスに乗り(フォルクスワーゲンの黄色いタイプ2)、本選に向かうが...。
<感想>
いい映画だった。
こういう小さい作品てかなり好みで、音楽も良かったし、思わずメモしたくなるようないいセリフもいくつかあった。
ただしこの映画は、他でよくありがちな旅するうちに家族が和解し、それぞれの問題も快方に向かっていったり、傷が癒えたりするような映画ではないところがおもしろい。
むしろ旅する距離に応じて、バスがだんだん壊れていってしまうように、それぞれの傷がもっとえぐられるようなことばかり起きる。
でもエンジンの押しがけをしながらバスに乗り込み、目的地へと進んでいく家族のように(ブルーレイのジャケットにもなっているシーン)、家族はそれでも家族としてそこに存在し、お互いに作用し合い進んでいくのだという温かみを感じさせてくれた。
明日の本選を控えだんだん怖くなってくるオリーブが、寝る前に何回もおじいちゃんに不安を打ち明けるシーンのグランパの言葉、夢断たれた長男が自殺未遂者の伯父と海辺で語り合うシーンは、何気ないセリフが本当に素晴らしい。
オリーブの本選の登録の時間に間に合うように猛ダッシュする伯父の姿や(走るのが苦手という伏線がある)、クライマックスの、家族たちが次々と舞台にあがりオリーブと一緒になって(下品な)ダンスを踊り出すシーンは胸が熱くなり、笑えるのに涙が出た。
そういう、笑わせたり泣かせたりが押しつけがましくないのが本作品の魅力。
エンジンを押しがけし(どんどん息が合ってきてるという演出)、みんなでバスに乗って家路へと向かうエンディングも印象的でした。
それはそうと、美少女コンテストに登場する全ての人がものすごくグロテスクで、ここだけすごくブラックな風刺を感じた。
オリーブがお腹ぽっこりのめがねっ子で、明らかに美少女コンテストに出れるようなタイプではないの。
そこをもうちょっとうまく使ったら(たとえば下品ながらもダンスがうまかったとか)もっとおもしろかったような気はするけど、それじゃありがちな印象になってしまうのかもね。
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