「ビフォア・サンセット」 [★★★★☆]
原題: BEFORE SUNSET
監督: リチャード・リンクレイター
脚本: リチャード・リンクレイター/キム・クリザン/ジュリー・デルピー/イーサン・ホーク
原案: リチャード・リンクレイター/キム・クリザン
出演: イーサン・ホーク/ジュリー・デルピー
2004年/アメリカ映画
★★★★☆
<あらすじ>
9年前にユーロトレインの中で偶然出会った、アメリカ人青年ジェシーとフランス人のセリーヌ。
意気投合した2人は次の目的地までの一晩をウィーンで過ごし、語り明かす。
別れ際に半年後にまた会おうと約束するが、それは叶わなかった。
しかし、作家となったジェシーが著書のキャンペーンでパリの書店を訪れた時、セリーヌがその会場に現れた。
その書店は偶然、セリーヌの行きつけの店だったのだ。
2人は再会を喜び合うが、残された時間はジェシーがNYへ発つ夕方までのたった85分。
彼らはカフェや公園、セーヌ川沿いをただただ語り合いながら、時間を過ごす...。
<感想>
1995年の「恋人までの距離<ディスタンス>(原題: BEFORE SUNRISE)」の続編となる本作。
主人公のジェシーとセリーヌはそれぞれ9年分歳を取り、それぞれの人生を送っていた(セリーヌは23歳から32歳になっている)。
1作目が大好きで、ウィーンに行った時には彼らが歩いた場所をいくつか訪れてみたこともあるのだが、その魅力は脚本に尽きる。
登場人物が2人だけなので、とにかくずっと話しているんだけど、それが本当にいいんだ。
話題が多様でさりげなく、誰かとこんな風に話せたらいいなあ、気持ちいいだろうなあって思った。
半年後の再会の約束を果たさぬまま9年振りに再会した2人だったけど、ぎこちなさはなく、許された短い時間を惜しむように語り続ける姿は健在。
もちろん話す内容は、やっぱりさりげなく、素晴らしい。
今回は主演の2人も脚色に参加しているようで、2004年のアカデミー脚色賞にはノミネートされているけど、惜しくも受賞はならず(「サイドウェイ」が取っていた。私は好みじゃないけど、あの年あの映画には勢いがあったもんなあ)。
でも2人が参加してるってところが何だかうれしい。
2作目だし...って期待してなかったんだけど、それをじゅうぶん裏切ってくれた。
1作目でいいなと感じたポイントを全て描いてくれていた感じだったんだ。
脚本の良さだけでなく、話しながら歩く街の風景の美しさも、台詞は軸だけは決まっているけど、ほとんどアドリブなんじゃないかと思わせるほど自然な演技も...。
"映画は総合芸術"っていう言葉を思い出させてくれた。
私には忘れられない人がいないので、2人の胸の内の本当のところは理解できてないかもしれないけど、それでも「運命」に対してのある種の切なさが、とても心地よく心にしみてきました。
どうにも別れがたい2人が、最後セリーヌの部屋へ行き、時間がきてても席を立たないジェシーのカットで終わるというのも本当ににくい。
見終わった後、DVDを注文してしまいました(1作目はもちろん持ってる)。
繰り返し見たい映画の1つです。
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