「ウディ・アレンの夢と犯罪」 [★★★]
原題: CASSANDRA'S DREAM
監督: ウディ・アレン
脚本: ウディ・アレン
出演: ユアン・マクレガー/コリン・ファレル/ヘイリー・アトウェル/サリー・ホーキンス/トム・ウィルキンソン
2007年/イギリス/アメリカ映画
★★★
<あらすじ>
兄イアンは赤字続きの父のレストランを手伝いながら、ホテル投資をして事業を始めたいと計画しており、弟テリーは修理工をしながら恋人ケイトと平凡な暮らしをしていた。
テリーの趣味はギャンブルで、ある日大勝ちしたテリーのおかげで2人はヨットを買うことができた。
そのヨットの名は犬の名にちなんで''カサンドラズ・ドリーム号''と名付けられた。
イアンも舞台女優のアンジェラと知り合うなど、順調に人生が進みかけていたが、テリーがポーカーでとてつもない金額の借金を抱えることになる。
お金持ちの叔父と会う機会があり、2人は援助を求めるが、逆に叔父に自分に不利益な人物を消してほしいと頼まれてしまう。
後に引けない2人はその申し出を受け入れる...。
<感想>
「マッチポイント」、「タロットカード殺人事件」に続いて撮ったロンドン三部作の最後を飾る映画なんだそうです。
タロットの方は見てないけど、マッチポイントはかなりおもしろくて、これがウディ・アレン映画なんだって新鮮だった覚えがある。
今回のもその時の感触同様、どういう結末に結びつけるのか...と期待しちゃったから、そういう意味では物足りなかったかな。
どことなくヒッチコックとか、昔のイタリア映画とかみたいな、往年の映画っていう妙な重々しさがあってその辺の雰囲気は良かったけれど。
ウディ・アレン映画は好きな方でよく見てたけど、今回本当に久しぶり。
もうずいぶんお年だと思うけど、健在って感じはしました。
「ナイト&デイ」 [★★★]
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原題: KNIGHT AND DAY
監督: ジェームズ・マンゴールド
脚本: パトリック・オニール
出演: トム・クルーズ/キャメロン・ディアス/ピーター・サースガード/ヴィオラ・デイヴィス/ポール・ダノ
2010年/アメリカ映画
★★★
<あらすじ>
空港でロイという男とぶつかったジューンは、機内でも彼と近くの席になり心ときめかせるた。
しかし彼女が化粧室に入っている間に、ロイは次々と機内に潜んでいた敵に襲われ、それを見事に回避する凄腕のスパイだった。
そんなジューンの元にCIAがやってきて、ロイは研究所から重要なエネルギー源''ゼファー''を盗み出し追われている身だと告げられる。
彼女は何を信じたらいいのか分からないまま、何かと自分の前に現れ身を守ってくれる彼に惹かれていく...。
<感想>
トム・クルーズとキャメロン・ディアスの共演というだけで心踊るので、去年“見たいけど(りーがいるから)見に行けない映画”の1つでした。
でも、まあまあ...というところ。
アクションだけど、全体的にはコメディと言いたいくらい軽い話で、でも別に笑えるわけでもないんだよね。
あと率直に(人のことは言えないけど)2人共年をとったなー。
それでもキャメロンはかわいいの。
でもジューンというキャラクターはそんなに好きになれなかった。
ロイが軽々とあらゆることをこなすのも見てて楽しかったけど、彼が結局どんな人なのかがあまり分からなくて、その辺に物足りなさを感じてしまったし。
だから本当は星2つ半くらいの感じなんだけど、それでもやっぱり魅力的な2人って思えたので、かろうじて星を3つにした感じです。
「シャンプー台のむこうに」 [★★★]
原題: BLOW DRY
監督: パディ・ブレスナック
脚本: サイモン・ボーフォイ
出演: アラン・リックマン/ナターシャ・リチャードソン/ジョシュ・ハートネット/レイチェル・グリフィス/ビル・ナイ/レイチェル・リー・クック
2000年/イギリス映画
★★★
<あらすじ>
イギリスの田舎町、ヨークシャーのキースリーで開かれることになった全英美容選手権。
昔この大会の覇者であるフィルは、息子ブライアンと共に美容室を経営しているが、大会に関してはある事件をきっかけに全くやる気を失っていた。
その事件とは妻であったシェリーとモデルのサンドラが、大会前夜に駆け落ちしたこと...。
そのシェリーは不治の病に冒されており、崩壊した関係を修復しようと、4人で大会に出場することを持ちかける...。
<感想>
なかなかおもしろかった。
具体的にどうとは言えないけど、すごくイギリス映画っぽいって感じがしたのも良かった。
ユーモアの種類がアメリカとは違うって言うのかな。
不治の病に冒された主人公が、かつて失った家族との絆を再生させたいっていうのはとてもありがちだけど、そこに訳の分からない「美容選手権」がからむっていうのが、非現実的で逆に良い効果があった気がする。
アラン・リックマンの普通の現代市民役もすごく新鮮だった。
大会が進むにつれ、司会を務める市長がだんだんこなれて、派手になっていくのもおかしかったです。
「マイレージ、マイライフ」 [★★★]
原題: UP IN THE AIR
監督: ジェイソン・ライトマン
脚本: ジェイソン・ライトマン/シェルドン・ターナー
原作: ウォルター・カーン(「マイレージ・マイライフ」)
出演: ジョージ・クルーニー/ヴェラ・ファーミガ/アナ・ケンドリック
2009年/アメリカ映画
2009年ゴールデン・グローブ脚本賞(ジェイソン・ライトマン/シェルダン・ターナー)/NY批評家協会賞: 男優賞(ジョージ・クルーニー)など他多数(アカデミー賞作品賞ノミネート)
★★★
<あらすじ>
解雇通知を仕事とするライアンは、年間300日以上出張でアメリカ中を飛び回わり、そんな生活に彼なりの哲学を見いだし、気楽なシングルライフを楽しんでいた。
しかし新人社員ナタリーの改革案により、その仕事をweb回線で行うことになりかける。
100万マイル飛ぶことが人生の目標だったライアンは猛反発したため、ナタリーに現実を見せるべく、出張を共にすることになってしまう...。
<感想>
私には全体的に悲しい映画に感じた。
まず、ライアンの哲学に共感を持てなかった。
と言うのは、長年楽しみ、守ってきた彼の生き方を、新人社員に翻弄されて、挫折してしまうのが残念だったんだ(ナタリーみたいな若い子っているな~って、むかついたのもある)。
妹の結婚式で家族らしいことをしたからかもしれないけど、転勤がなくなると決まった途端、それまでライトに繋がっていたアレックスを自宅まで追いかけるほど、アイデンティティーが崩れてしまう。
しかも同種の人間だと思ってきたアレックスには、実は家庭があることを知ったり、さっき書いたように仕事のやり方が変わったりで、ライアンはまるで落ちぶれた人みたいになってしまうのね。
結局ナタリーが辞めたことで、仕事じたいは元通りにもなったし、夢の100万マイルも達成できるんだけど、1度人に繋がりを求めてしまった後のライアンの生活はきっと孤独感を感じずにはいられなくなると思うから...。
確かにみんなそういうところがあるけど、ライアンの価値観てそんなに脆いものだったんだ...と感じるだけに終わってしまったかな。
その奥の普遍性まで見られてたら、きっといい映画になったと思うんだけど。
「シャッター アイランド」 [★★★]
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原題: SHUTTER ISLAND
監督: マーティン・スコセッシ
脚本: レータ・カログリディス
原作: デニル・ルヘイン(「シャッター アイランド」)
出演: レオナルド・ディカプリオ/マーク・ラファロ/ベン・キングズレー/ミシェル・ウィリアムズ/エミリー・モーティマー/パトリシア・クラークソン
2009年/アメリカ映画
★★★
<感想>
映画の宣伝文句だった「衝撃のラスト」とか「すべての謎を解くことができるか?」みたいなことを意識し過ぎると物足りないかもしれない。
私も最初はそう思いながら頭をフル回転させて見てたけど、逆に起こる現象をただ素直に受け止めて見てた方がいいかも、と早い段階で気づいて良かった。
そういう映画会社の煽りをまともにくらってしまうと最後がっかりするかもしれません。
だいたい、そんな煽るほど複雑なストーリーでもなかったし。
語り口・結末はいわゆる「夢落ち」だけど、実のところ戦争がもたらす悲劇と、家族愛、そしてベン・キングズレーとマーク・ラファロ演じる医師の、精神疾患を持つ犯罪者への人間愛、尊厳を描いている映画だと思います。
舞台が絶海の孤島で、しかも嵐に見舞われるので映像が陰鬱としているし、妄想や現実の殺害シーン(戦争や子どもの)があまりにも暗く悲しい。
そして誰を信用していいのか,,,というストーリー展開なので、最後の謎解きからラストにかけてのシーンで、院長と主治医が彼のことを人間として優しく愛情を注いでいるというのが本当なんだと理解できたのは、一筋の光のような気さえしました。
それに最後のテディのセリフ、「モンスターとして生きるか...」云々は、ある意味ではちゃんと''衝撃のラスト''だったのではと思っています。
どんな手術なのか詳しくは知らないけど、脳をいじる手術(ロボトミー手術)を彼は自ら受け入れてるわけだもん。
きっとそれも2人の医師の愛を感じたからこそ、そう決意できたのでは?と思えてなりません。
素直にロボトミー推進派の医師や警備の人間についていくテディの後ろ姿が印象的でした。
複雑なストーリーなのではなく、見ている側の感情が複雑に揺さぶられるような、とても悲しい映画だったと思いました。
「オーストラリア」 [★★★]
原題: AUSTRALIA
監督: バズ・ラーマン
脚本: バズ・ラーマン/スチュアート・ビーティー/ロナルド・ハーウッド/リチャード・フラナガン
原案: バズ・ラーマン
出演: ニコール・キッドマン/ヒュー・ジャックマン/ブランドン・ウォルターズ/デヴィッド・ウェンハム
2008年/オーストラリア映画
★★★
<感想>
3時間近くの長い映画だったけど、わりと全体的に楽しく見れました。
テーマがわんさかあって次から次へと事件が起きるので、追いかけてるだけで時間が過ぎちゃう感じです。
前半はアボリジニへの差別や軍への食肉用の牛の独占販売などがテーマで西部劇風。
同じくニコール・キッドマン主演の「遥かなる大地へ」を思い出したりもした。
もしくは「風と共に去りぬ」とか。
貴婦人のサラが夫の遺志を継ぎ、牛追いのドローヴァー、白人とアボリジニのハーフである男の子ナラたちと、港町まで1500頭もの牛を運ぶストーリーが、美しいオーストラリアの大自然をバックに展開される。
ライバルの執拗な邪魔が入るんだけど、ナラがアボリジニの不思議な力を持っているシーンがあったり、サラとドローヴァーのロマンスもあったりして、一大叙事詩のようで飽きさせない。
無事到着して牛を軍に販売することもでき、こんな風に一応完結しちゃって、あと半分どうするんだろう?と思ったら、全然別のストーリーが始まるの。
後半は西部劇から一気に戦争ものへ。
家族のように暮らし始めたサラ、ドローヴァー、ナラが、それぞれの生き方の違いでバラバラになりかけ、さらに太平洋戦争での日本軍の空襲により、生死さえ分からないというような話になる。
最後に政府がアボリジニや「盗まれた世代」に対して正式に謝罪したというクレジットが入り、「あ、そうだ、それもテーマだった」と改めて思い出すような、忙しい映画です。
でもとにかくニコール・キッドマンがきれい!
ちょっと褒め過ぎだけど、ストーリー展開のいろんな強引さを黙らせるような、迫力ある美しさがあって、それだけでも見る価値ありと思いました。
最後に監督がバズ・ラーマンと知って、「そうか、彼の映画だったからおもしろかったのか」と個人的に納得。
偉そうですが、この映画をもし違う人が撮ってたら、ただただ長いだけで絶対おもしろくなかったと思う。
お薦めとは言わないけど、なんか見れちゃう映画でした。
「50歳の恋愛白書」 [★★★]
原題: HE PRIVATE LIVES OF PIPPA LEE
監督: レベッカ・ミラー
脚本: レベッカ・ミラー
原作: レベッカ・ミラー(「50歳の恋愛白書」)
出演: ロビン・ライト・ペン/アラン・アーキン/キアヌ・リーヴス/ブレイク・ライヴリー/ウィノナ・ライダー/ジュリアン・ムーア/モニカ・ベルッチ
2009年/アメリカ映画
★★★
<感想>
周囲の人々からも評判が良く、憧れの女性であり母である美しいピッパ・リーの今と過去を描く。
実はかなり奔放だった過去を持っているから、今の彼女とかなりギャップがあっておもしろいんだけど、淡々と描き過ぎているからなのかいまいち伝わってこない。
本で読んだらもっとおもしろいのかもと思った。
ただ一通り告白が終わり、夫が亡くなった後の彼女のさっぱり感は爽快。
夫のことも家族のことも愛しているけれど、やっぱり自分の人生を生きないと...と肩の荷をおろしたような晴れやかさがあった。
邦題に使われている「恋愛白書」というフレーズが何を根拠につけられたかはまるで意味不明。
キアヌとのことはまだ恋愛とは呼べないし、あとは夫との出会いくらいしか恋のことは出てこないもの。
「シャーロック・ホームズ」 [★★★]
原題: SHERLOCK HOLMES
監督: ガイ・リッチー
原案: ライオネル・ウィグラム/マイケル・ロバート・ジョンソン
脚本: マイケル・ロバート・ジョンソン/アンソニー・ベッカム/サイモン・キンバーグ
出演: ロバート・ダウニー・Jr./ジュード・ロウ/レイチェル・マクアダムス/マーク・ストロング/ケリー・ライリー
2009年/アメリカ映画
2009年ゴールデン・グローブ: 男優賞(コメディ/ミュージカル部門)(ロバート・ダウニー・Jr.)
★★★
<感想>
シャーロック・ホームズものは本も読んだことないし、見たことある映画も「ヤング・シャーロックホームズ」だから、この映画も違和感はなかった。
確かに配役はイメージと違ったけど、ワイルドなホームズ、スマートなワトソンくんは新鮮。
古いロンドンの街並みのレンガ色やアスファルト色のトーンも繊細で美しく、同じくジュード・ロウ主演の「スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー」を思い出した。
ただ、ガイ・リッチーの「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」の雰囲気を期待しちゃうと物足りなさはあるし、このように作るなら監督がガイ・リッチーである必要性があったのかなあとも思った。
彼本来のスピード感は小さな町並みの中で生きるのかもね。
最後、写真をパラパラとめくるみたいに謎解きが始まって「うーん、なるほど」と唸るわけだけど、そこもわりと平凡だったし。
そうそう、全体的にミステリーのわりに緊張感がなかったんだよね。
単純なアクション大作としてはいいのかもしれない、いかにもハリウッド的(好きだけど)。
ところで、ブラックウッド卿役のマーク・ストロングさん、ずっとアンディ・ガルシアだと思って見てたので、エンドロール見てびっくりしてしまいました(笑)。
「ハート・ロッカー」 [★★★]
原題:THE HURT LOCKER
監督: キャスリン・ビグロー
脚本: マーク・ボール
出演: ジェレミー・レナー/アンソニー・マッキー/ガイ・ピアース
2008年アメリカ映画
2009年アカデミー賞: 作品賞/監督賞/脚本賞など多数
★★★
<感想>
「hurt locker」=「極限まで追い詰められた状態。また、棺桶のこと」ってweb辞書にあった。
ハートがheartだと思ってるとまた映画の印象が変わるかもしれない。
米軍の俗語だそうです。
確かに状況も精神もギリギリの様子を逆に淡々と描いている。
映像も荒いし、音楽やセリフもあまりないから、たまにドキュメンタリーを見ているような錯覚に陥った。
アカデミー賞で作品賞監督賞を取っているのを知って見てるから、監督が女性だとは知っていたけれど、それでも驚いてしまった。
(過去の作品を調べてみたら「ハートブルー」だけ見てました。キアヌの出世作だよね)
問題提起な感じもするし、いい映画だとも思うけれど、好みじゃない...かな。
ジェームズとサンボーンのどちらかにでも感情移入できればまた違ったと思うんだけれど、ストーリー性はないのでそれが難しかったから。
「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」 [★★★]
ベンジャミン・バトン 数奇な人生 (2枚組) [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- メディア: Blu-ray
原題: THE CURIOUS CASE OF BENJAMIN BUTTON
監督: デヴィッド・フィンチャー
脚本: エリック・ロス
原案: エリック・ロス/ロビン・スウィコード
出演: ブラッド・ピット/ケイト・ブランシェット/ティルダ・スウィントン
2008年/アメリカ映画
2008年アカデミー賞: 美術賞/メイクアップ賞など他多数(作品賞ノミネート)
★★★
<感想>
何が言いたかったのかはよく分からなかったけど、1人の人間の人生を、老いから始まるという特異な設定のお陰で興味深く見れた気はする。
人間が生まれて、生活して、死んでいくというのは、びっくりするくらい大事件かつ平凡なことなんだ...そして切ないなあと感じた。
それはどんな人種、性別、境遇でも大差なんてなく、大枠は同じことなんだということもイメージさせられたかな。
ブラット・ピットをどうやって若返らせていくんだろう?ということも考えながら見てたんだけど、あれはCGなんだろうか?
老いはメイクで何とでもできそうなのに不思議だよね。